「あの家、どうするの?」
「叔母と叔父が住むの。」
「叔母さんと叔父さんは出て行かないんだ。」
「うん。あの家が良いらしい。」
 何だかホッとした。
 あの家がもぬけの殻になってしまうなんて寂しいから。
「時々帰ってくるからね」
 奏は窓の外を眺めて呟いた。
 いろいろと話しているうちに駅に着いた。
 もう結構気分が楽になったな。
 奏の家に着いた。
 相変わらずの豪邸だ。
「ここで2人暮らし?」
「2人ではないんだ・・・」
「え?」
「・・・入ってよ。」
 私の声が聞こえないみたいに奏は私を家に上がらせた。
 何か理由があるんだよね。
 あまり触れないようにしよう。
 家に上がったが、いつもとは変わらないような気がした。
「・・・」
「俺の部屋、行こ。」
「うん・・・」
 2階のドアがたくさんある廊下を歩く。
 1つのドアが開いているのに気付いた。
 見ちゃいけないのだけれど見えた。