運命

「じゃあ！・・・誰と行くんだよ」
「・・・」
　言えないよ、奏に会いに行くなんて。
　でも言わないと奏に会えない。
「答えて！」
「彼氏・・・！」
　すると淳平は掴む力を緩めた。
「居たんだ・・・」
　私は頷いた。
　そして淳平は私の腕を離した。
「ごめん・・・」
　すぐに行こうとした。
　でも淳平は自分を犠牲にしてでも私を助けてくれた。
　そのまま行くわけにはいかない。
　そっと淳平を見た。
「・・・！」
　淳平は泣いていた。
　なんで？
　私はこの淳平を置いて行くの？
　でも奏はこれでもう会えなくなっちゃう。
「私・・・」
「行かなきゃ・・・ダメ・・なんだろ？」
　震えた声で淳平は言った。
「淳平・・・」
「ごめん・・・。でも、俺は瑞歩ちゃんに行ってほしい」
「・・・！」
「俺さ、瑞歩ちゃんが幸せなら良いんだよ。」