私の心臓は早さを増した。
「瑞歩ちゃんを助けようとしたの。でも・・・一緒に落ちちゃったの。」
「嘘・・・」
 涙が溢れた。
 私は淳平の隣にいた淳平のお母さんに言った。
「・・・ごめん・・・なさい・・!」
 精一杯言った。
 でも淳平のお母さんは優しく言った。
「頭を上げて。」
 私は思わぬ反応に驚いた。
 少し頭を上げてみた。
 淳平のお母さんは優しく微笑んでいた。
「瑞歩ちゃんは悪くないよ。それに・・・瑞歩ちゃんも怪我しちゃって・・・。でもあの男の子に罪があるわけでもないわ。淳平は自分の意思で瑞歩ちゃんを助けようとしたらしいし。ごめんね、瑞歩ちゃん。」
 淳平のお母さんの笑顔は私をまた苦しくした。
「淳平、大丈夫なんですか?」
「あぁ・・・。なんか頭を強く打っちゃったみたいで・・・。しばらくこの状態が続くかもって・・・。」
 淳平のお母さんは少し悲しい顔をした。
「ごめんなさい・・・」
「だからぁ、瑞歩ちゃんが謝らないでって!」
 また笑った・・・。