「なんでそんな簡単に許せんだよ。打ちどころが悪かったら・・・死んでたかもしれないんだぞ!?・・・俺、これからちゃんと償うから・・・。」
「いいよ、そんなの。」
 本当に、そういうのはいらない。
「本当に、申し訳ありません!」
 隣にいた女の人が叫んだ。
「本当に大丈夫!」
 笑ってみせた。
 私のお母さんはそんな私をじっと見ている。
「・・・その子が許すって言っているのでもういいです」
 お母さんが口を開いた。
 お母さんは私を見て微笑んでいた。
 しばらくお母さんと女の人が話し合って、男子は帰っていった。
「本当に良かったの?」
 お母さんが聞いてきた。
 私は頷いた。
 周りにいた人たちも何人か帰っていった。
 でも優歌だけはなかなか帰らなかった。
「優歌?もう時間・・・」
 時計は7時になっていた。
 優歌は泣きそうな顔をしてただ黙っていた。
 お母さんは看護婦さんに呼ばれて出て行った。
「優歌?」