よく見るとここは病院・・・。
「・・・え!?」
「良かったぁ・・・」
 みんなホッとした顔をしている。
「私・・・」
「瑞歩ね、階段から落ちたのよ。失神しちゃっただけらしいけど。」 
 周りを見渡すと、壁際に寄りかかって泣いている男子がいた。
 私にぶつかってきた男子か。
 その男子を見ていると、そいつは親らしき女の人と近づいてきた。
「あの・・・ごめんなさい!」
 そいつは深々と頭を下げて全く動かなかった。
 一緒に女の人も頭を下げてきた。
 2人とも泣いている。
 私のお母さんは怖い顔をして何かを言おうとした。
 でもそれを私が遮った。
「いいの!」
 場が沈黙した。
「瑞歩・・・」
「だってその人、わざとぶつかってきたわけじゃないし。私がいるって気付かなかったんだよ。だったらその人に罪はなくない?私は許してあげたいな。」
 みんな何も言わない。
「ダメだよ・・・」
 深々と頭を下げている男子がそのまま言った。