私たちはキスをした。
「じゃあ・・・」
「うん。またね!」
 そして私は家へ帰った。
 この顔を人に見せたくないから走った。
 走ってる間にやっぱり涙が出てしまった。
 もう堪え切れる気がしなかった。
 家に帰っても誰もいない。
 私は鏡の前に立った。
 ひどい顔。
 それを見たらまた泣きたくなった。
 壁に寄りかかり、泣き崩れた。
「うぁぁ・・・」
 早く泣き止まなきゃ。
 親が帰ってくる!
 でも耐えられないよぉ・・・。
 誰か・・・助けて・・・。
 神様、お願いです。
 どうか、どうか、奏の引越しを取り消してください。
 お願いです・・・。
 じゃなきゃ私は・・・何に縋って生きていけばいいの?
 これから私はどう乗り越えなければならないの?
 教えてよ・・・奏!