どうしよう・・・どうしよう・・・どうしよう・・・!
 どうして?
 なぜそんなに慌てる必要があるの?
 嬉しいはずなのに・・・罪悪感のようなものに包まれる。
 涙が目に溜まった。
「・・・淳平・・・!」
 つい出てしまった名前。
 やっぱり諦められてなかった。
 でも・・・私はもう奏のものだよ。
 大丈夫だよ・・・淳平のときみたいにすぐ好きになれる・・・。
 プルルル、と電話が鳴った。
 突然鳴ったので体が一瞬ビクッと震えた。
 私は涙を拭って心を落ち着かせ、電話に出た。
「もしもし?」
『もしもし、瑞歩?』
 お母さんだった。
『ごめんね、今日もちょっと帰りが遅くなるから・・・キッチンに置いてあるコロッケ、温めて食べて頂戴。お父さんは9時頃になっちゃうけど・・・』
「お父さんが帰ってくる前に帰って来れるの?」
『どうだろう・・・。明日まで片付けなきゃいけなくて・・・。何時になるか分からないわ』
「そう・・・頑張ってね。」
『ありがとう。ごめんね、バイバイ!』
 まただ・・・。