7時半にはお母さんが帰ってくる。
「もう?」
「うん。お母さんが帰ってきちゃう。」
「そっか・・・」
 奏は悲しい顔をした。
「ごめん・・・」
 私だって嫌だよ・・・。
 でも帰らなきゃ。
「じゃあ、俺も行くね」
 私たちは駅のホームで別れた。
「あ、瑞歩?」
 奏が私を呼んだから振り向いた。
 すると奏は私の目の前にいた。
 そして私の唇に唇を重ねてきた。
「・・・!」
 初めてのキス。
 これがファーストキス。
 顔がどんどん赤くなった。
 ジリリリ、と電車のベルが鳴った。
「行かなきゃ。バイバイ、瑞歩。」
「・・・ばいばい」
 呆然とした私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
 でもすぐに我に返って時計を見た。
 7時20分。
「やばっ!」
 走って変えれば3分で付くな。
 私は猛ダッシュして帰った。
 まだお母さんは帰ってきていなかった。
 そして私は壁に寄りかかって崩れた。
「キス・・・しゃちゃった・・・・・・!」