何もしてくれなかった!
 ずっと私を抱きしめている奏。
「奏・・・。」
「ん?」
「いきなりだけど・・・奏のこと好き」
 ああ、言ってしまった。
 でもこれは私が望んだこと。
 今、抱きしめられるだけじゃ伝えられないことを奏に伝えただけ。
「ホントに?」
 奏は私を1度離して上目使いで聞いてきた。
「うん」
 奏の顔についうっとりしてしまった。
「俺もだよ・・・。嬉しい!」
 奏は笑った。
 淳平みたいに可愛い顔で・・・。
 今伝えたばかりなのにこんなことを思ってしまった。
「じゃあ、付き合う?」
 奏は真剣に私を見てきた。
「え・・・」
 奏は黙ったまま私を見つめ続けた。
「いいのかな・・・」
 すると奏は笑顔になっていいよって言ってくれた。
 そして奏は私のおでこにキスをした。

 もう1時間たった。
「時間・・・」
 時計を見ると7時になっていた。