「拓也っ♥♥一緒に帰ろぉ!」

「いいよ。」

「なんかぁ、あたし達って毎日一緒に帰ったり、デートしたり、キスしたり・・・。恋人同士みたいじゃなぁいっ!?」

「ちょっと、真理ぃ。マジの彼女の前で言うなよぉ(笑)」

「あっ!聖羅ちゃん、いたんだぁ!ごめぇんっ影薄くて気付かなかったぁ(笑)」


あたしの名前は
桜庭 聖羅(さくらば せいら)。高校2年生。

あたしの彼氏は
佐藤 拓也(さとう たくや)。高校2年生。


あたし達は、通称“名ばかりの恋人”。
理由は説明しなくても分かると思う。
この今の状況からして、あたしと拓也が恋人だなんて
思えるような空気ではない。

そもそも
なぜあたし達は付き合っているのか。


別れようと言われたわけじゃない。

別れようと言ったわけでもない。

それに、付き合ってるのか?と聞かれて拓也が否定したことはない。
もちろん肯定したこともないけど・・・。


あたしは学年1の勉強女。
彼は学年1のスポーツ男。

あたしは学年1地味な女。
彼は学年1イケてる男。

どう考えても釣り合わない。


あたしは、長いスカートに三つ編みメガネ。
彼は、美しい容姿に制服を着崩すチャラ男。

これでは納得してもらえるわけがない。