「でも、俺にとってはたった一人のじいさんだし、俺は父さん達の
後を継ぐと思う」
分かってるよ、想がおじいさまの学校を継ごうとしてることくらい、
あたしだってちゃんと分かってる。
「だからなりたいもの、とかないんだよな、多分こうなるんだろうな、ってしか
考えてないし。ただ、一つやってみたいことならある」
「やってみたいこと?」
想から初めて聞く言葉に、質問で返すと、すぐに答えてくれた。
「海外に行ってみたい」
「海外?」
「去年アメリカ留学の件があっただろ?本当はお前と何もなかったら行くつもりだったんだ」
知らなかった、想がそんな風な..
「だからって勘違いすんなよ」
「でも」
「その件はもう解決したはずだけど?」