「病院は、行ったの?」
あたしの質問には答えず、ただ俯いたまま。
それが荒川さんの答えのような気がした。
「とりあえず、病院に行こう」
「あんたには関係ないでしょう?放っておいて」
「そんな事、できるわけないでしょ!」
この状態で、このままになんて出来ない
「ご両親は、知ってるの?」
「そんなの、言えるわけ、ないじゃない!今までいい子で育ってきたのよ!親になんて言ったらいいのよ!」
「荒川さん、でもこのままじゃいけないのは分かってるよね?」
「……」
「待ってて、ちょっと電話してくる」
「嫌よ、誰にも知らせないで!あたしはこのままで」
言い終わる前に、パンと乾いた音が響いた。
頬を抑えながら、荒川さんがあたしを見つめる。
「いい加減にして!そんな勝手な都合、絶対に許さない!荒川さんのお腹の中では今一生懸命赤ちゃんが生きてるんだよ?そのままにしていいなんて、絶対にダメだから!」
納得したのか、分からないけどそれ以上荒川さんは答えなかったのであたしはすぐにお母さんに電話をした。