そこに居たのは、ゆきくんだったから。


でもどうやら眠っているみたいで、私は起こさぬ様細心の注意を払いながら回れ右をした。



「随分と遅かったな。」



どうやら手遅れだったらしい。



「…こっち来いよ。」



少し甘く、昔の様に囁かれただけで私は従順にゆきくんの所に行ってしまう。



「なん、何で…ここに?」

「此方のセリフだ、テメェ何で此処に居んだよ。」



すぐに冷たい声に戻ってしまった。



「地元の高校には行きたくなかった…から。」


「ククッ、だろうな。あんな事あったんだしなあ。」


「ッ…」