もう耐えきれなくって



急ぎ足でその場を駆け抜けた。




―……ここ




そんな声が聞こえた。



でも、多分それは気のせい。


混乱した頭の中に創り上げた私の妄想。



でも、その声は昔と変わらない


暖かくて、甘くて、落ち着く声。



妄想でも幻聴でも夢でも



もう、何だって良いから



ずっとずっと聞いていたいと思った。



振り向いた視線の先には



もうカレは、居ない…。