俺は女の背後から忍び寄ると、軽く、触感をチェックする。

 想像以上に聞き分けの良い女は、すぐに体の力を抜いた。本当に、時間はない。早くしないと、娘の方が不審に思ってしまう。

「奥さん……、ダンナは?」

 後ろから、手で柔らかな肉をつかみながら、耳元で訊ねる。

「はやく、に……り、こんして……」

「早くって、いつ?」

 俺は、女に喋らせながらするのが大好きだ。女によっては「うるさい!」と罵られたこともあるが、この年になると、大体どういうタイプが自分の言いなりになってくれるか、分かるようになる。

 俺は、更に指に力を込めながら、続ける。

「……、じ、じゅうねん……くらい、まえ……」

「ふーん……」

 やはり、時間が気になる。俺は、手を下にずらして、先を急いだ。

「まさか、10年ぶりってことはないよな?」

顔に似合わず、なかなかの反応を見せた。

「壁に、手ついてよ。そこそこのやる気出してくれたらええし」

 細い体が、一瞬こわばったかと思うと、すぐに溜息が漏れ始めた。

「……いつくらい? いつくらいぶり?」

 流れは実にスムーズだった。それよりも、女の方が本気っぽくなってきていて、その期待に応えられるかどうか、若干、不安になってくる。

「……、ご……ねん…かも……」

「よー我慢したやん(笑)」