- 20XX年 4月 -
麗中学校に通う中学2年生の永瀬桜は現在入学式に出席……ではなく。
屋上で昼寝の真っ最中であった。
「入学式2・3年生が出る必要ねーじゃん…」
大きなあくびをして桜は眠りにつこうとしたが、それはバンッとゆう扉が勢いよく開く音とそこから出てきた者の仕業により防がれた。
「桜ー。ここにいるんだろー」
あの声は小学校からの同級生。前川健だ。
いない振りをしようとしたが健にはまるで俺の居場所がわかるようにたった数秒で見つかってしまった。
「桜やっぱりここにいたか」
健はそう言うと俺の横に座る。
読者の皆さんはもうお気ずきかと思いますが永瀬桜は『男』である。
俺の両親は女の子が産まれてくる予定で桜と名前を決めていたが結果は見事に男の子。
だからといい名前を最初から考えるのが面倒だという勝手な都合で俺の名前は桜に決定してしまった。
というわけである。
桜なんて名前をつけられたせいで俺は当然のようにいじめられていた。
でも俺が小学6年生の時、いつものようにいじめられていた俺を助けてくれたのが今現在俺の隣に座っている健だ。
その時から俺がいじめられていれば健は必ず助けに来てくれた。
俺たちの間には友情が生まれ、今となっては1番の親友だ。
「ご自身の名前と俺たちの関係の説明を長々とご苦労様です」
そう言い健は俺に敬礼をする。
「ところで桜」
健が突然俺に質問する。
「なんだ?」 と俺。
「入学式に出ないなら学校に来る必要なんて無かったと思うんだけど」
俺は「お前も入学式に出ていないのによく言うな」と思ったがここはあえて何も言わないことにする。
「で、なんで?」
俺は一度ため息をついた。
「家にいても面白くねーじゃん」
「そんな理由かよ…」
健は「何だ…」と小さく言った。
俺はこの時までアイツとの出会いを少しも予想しちゃいなかった。