「ただ?」




グラースが意味深につづけた言葉に、ローズは目線を上げる。



目があったグラースは一度頷くと、懐から一枚の用紙を取り出した。


丁寧に用紙をローズに向けて差し出す。





「なにこれ、古いわね?」




手触りからしてざらざらしていた。




黄ばんだ、年季の入った用紙。そこに描かれているのは――。






「地図ね」



「はい、部屋の机の上に置かれていました。おそらく本家の間取り図ではと」





地図をひとにらみし、確かにとローズは同意する。



この屋敷に入ってきたところから思い起こして地図をたどれば、確かにそれは一致した。







そして






「地下があるのね」