「ブルー様は、いつも早くに簡単な朝食をメイドや執事の方たちととって、すぐにお部屋にこもって勉学されているそうなんですね。でも、今日はいつまでたっても姿を現さないということで、メイドの方々が心配して声をかけてきたんです。本日実家に戻られるという話ですから、何かご存知じゃないですか、て」




何とも兄様らしいと思いながら、ローズは続きを促す。




「勿論こちらも存じ上げておりませんから、ブルー様のお部屋を訪ねてみたんです。そしたら、もぬけの殻になっておりまして、どこかにお出かけかと執事や他の方にも訊ねてみたんですけど、どちらの方も今日は見かけていないというんです」


「…部屋はどうだったの?隠れてたとかは?…微妙だけど」


「いえ、一応訪ねた時に部屋の中はきちんと確認しましたけど、人の気配すらしませんでした。ベッドも乱れてもおりませんでしたし、異常も特にありませんでした」



さすがあの特異な父の正式な従者。

回答が求めるところをきちんととらえている。




心中でそこそこ従者の評価を改めながら、ローズは更にきく。




「他の部屋は?例のお兄様のお気に入りの部屋とかには?」


「どこを探してもいませんでしたし、一番可能性のあるブルー様のお父様のお部屋にもやはりおりませんでした」



そこも白、か。



ローズは考え込む。








「…ただ」