(……なんて食事かしら)
洗いたての真っ白いテーブルクロスに並べられた、美しい彩の料理。
それを、光を美しく反射する銀食器で口に運ぶ。
そんな単調な作業を何度も繰り返したのち、ローズの胸の内に浮かんだのはその言葉だった。
(なんて美味しくない食事かしら)
手に持つスプーンで、透き通るような美しい茶色のスープをかき回しながら、ローズはそっと視線を周囲に走らせた。
広々とした見た目の美しい料理の並んだ食卓を共に囲んでいるのは、屋敷の主たるライ、愛しの兄ブルー、先ほどあったガーネット、そして屋敷に仕える侍女たちだ。
この後遅れてくる予定のものは、当主の妻とローズの従姉妹の二人だけだ。
この屋敷で生活している本家の人間はざっと十数人に及ぶが、ローズの名前をきいて夕食の席に顔を出すのを断ったのは、半数以上だった。
申し訳なさそうに、対面だけを取り繕った断りの言葉をライの口からききながら、ローズの心の内には嫌悪感しか浮かばなかった。
(だから本家の人間は、嫌いなのよ)
この食事の席に至っても、そうだ。
会話をふられ、当たり障りのない会話を繰り返す。
その光景は、見た目だけならどこにでもある貴族の食事風景にすぎない。
だが、ガーネットはライとブルーとは会話しても、ローズはいないものとして扱い、目も向けたりしない。
侍女にしても、料理の皿を並べる回収する、飲み物を注ぐなどの最低限の作業を終えれば、ローズからさっと遠ざかる。
仕事だから仕方なくやってますというのを、どこまでも表しているにもあきれるほどである。
その結果、ローズは美味しくない夕食の時間を過ごしているというわけだった。
洗いたての真っ白いテーブルクロスに並べられた、美しい彩の料理。
それを、光を美しく反射する銀食器で口に運ぶ。
そんな単調な作業を何度も繰り返したのち、ローズの胸の内に浮かんだのはその言葉だった。
(なんて美味しくない食事かしら)
手に持つスプーンで、透き通るような美しい茶色のスープをかき回しながら、ローズはそっと視線を周囲に走らせた。
広々とした見た目の美しい料理の並んだ食卓を共に囲んでいるのは、屋敷の主たるライ、愛しの兄ブルー、先ほどあったガーネット、そして屋敷に仕える侍女たちだ。
この後遅れてくる予定のものは、当主の妻とローズの従姉妹の二人だけだ。
この屋敷で生活している本家の人間はざっと十数人に及ぶが、ローズの名前をきいて夕食の席に顔を出すのを断ったのは、半数以上だった。
申し訳なさそうに、対面だけを取り繕った断りの言葉をライの口からききながら、ローズの心の内には嫌悪感しか浮かばなかった。
(だから本家の人間は、嫌いなのよ)
この食事の席に至っても、そうだ。
会話をふられ、当たり障りのない会話を繰り返す。
その光景は、見た目だけならどこにでもある貴族の食事風景にすぎない。
だが、ガーネットはライとブルーとは会話しても、ローズはいないものとして扱い、目も向けたりしない。
侍女にしても、料理の皿を並べる回収する、飲み物を注ぐなどの最低限の作業を終えれば、ローズからさっと遠ざかる。
仕事だから仕方なくやってますというのを、どこまでも表しているにもあきれるほどである。
その結果、ローズは美味しくない夕食の時間を過ごしているというわけだった。