「……ローズ」


沈黙を破ったのは、兄だった。


おそるおそる顔を上げれば、兄と目があう。

その目は、考えていることを映さない。

ぼんやりと、ただ見ているローズを映した。



「君はどうしてここ来たの?」




「――え?」


意味がわからず、ローズは戸惑う。





「どうして今日、来たの?」




試すような響きを、感じた。

しかし、ローズにはその意図がわからない。


なんでそんなことをきくのか。




「………迎えに行くように、言われたから」


考えても、言えたのはそれだけだった。