目を覚ますと、空はすでに暗くなっていた。
ローズは頭をおさえた。
頭がどうにも重い。
間違いなく寝すぎたせいだった。
「…兄様」
ローズはベッドから降り、部屋を後にした。
「目を覚ましたようだね、ローズ」
ローズが扉を開けて中に入ると、ブルーは微笑みを浮かべてそういった。
苦笑しながら、彼女は兄へと歩み寄る。
「ええ。随分懐かしい夢を見たわ」
おだやかにブルーに笑みを向けた後、その顔は一気に怒気を帯びた。
その矛先は、グラースにある。
剣の先のような眼差しを向けられ、従者はびくっと身を震わせた。