×××



年の初め。



本家の人間が集まるしきたりに従い、父が家を代表して参加している。
その父の気まぐれで何回か本家に訪れたことがある。


本家の人たちは表面上は穏やかに、でもその目の奥には憎々しげにこちらを見る。
中にはあからさまに態度から言葉からに示してくる者もいた。

特に、ローズとそう年齢の変わらない者たちは顕著に。





だからローズは本家が嫌いだ。

本家の人々が嫌いだ。





ローズは“人殺し”と言われた。



彼女にとって、これほど身に覚えのないわけのわからない文句はない。


人を殺したことなど、ローズにはない。
なのに彼らは、彼女を“人殺し”と責めてくる。



そういう時、決まって父・カシスは閉口する。
いつもなら雄弁で、飄々とした表情のまま、相手の心まで暴くような言葉を平気で言葉にするような人間性の持ち主なのに。


そうして、黙ってローズの手を取ってその場から連れ出すのだ。

何も言わず、その場から――。




誰も理由を、話してくれない。




×××