「1日だけよ。それ以上はまたない。強制的に連れて帰るからね」

「それは怖いな。でも、嘘じゃないよ」


ローズはじっと兄の目を見つめた。

逸らされず、自分を見返してくるその目に曇りはない。この目で嘘をつけるなら、素晴らしい腹芸の持ち主くらいだろう。

ローズは大げさにため息をつく。


「はーあ。わかりました。もう、好きにすればいいよ。でも、グラースを見張りにつけるからね」

「あれ?わかってくれたんじゃなかったの?」

「わかったわよ?だけどこの屋敷だと人を信用する基準を見失うこと必至だから、仕方ないと思って。こればかりは私の心の中の問題だし。それに。嘘じゃないなら、構わないでしょ?」


ここぞとばかりに兄の顔を覗き込めば、彼はやれやれと肩をおろし、彼女の頭を撫でた。


「仕方ないね。どうぞ、お好きに」

「理解してくれてうれしいわ、ブルー兄様」


兄――ブルーは、苦笑した。