今思えば久し振りに笑ったとおもう。
入院は飽きるほどしているから何とも思わ
ないけど、やっぱり退屈だ。
毎日毎日同じことの繰り返しで味気ない生
活を送っているうちに、私は心から笑うこ
とが出来なくなっていた。
無機質な、まるで表情のないロシア人形。
いつしか私は周りからこう呼ばれるように
なった。
ロシア人のハーフ故に蒼い瞳、それに無表
情が合わさってこうなったんだろう。
そう呼ばれるようになってから私は更に笑
えなくなってしまった。蒼い瞳を持った、
皆と違う自分が嫌いになった。
今もきっと心から笑った訳ではないと思う
けど、少しだけ胸がほっこり暖かくなった
のは気のせいではないだろう。
「(…あぁ、たしか)」
はじめて会った日もこんなだったな。
ちょっとだけ、本当にちょっとだけだけど
、自分が好きになれた気がしたの。