302号室。
ここがお父さんがいる
病室。


お母さんがゆっくり扉を
開けた…。
私達もゆっくり病室に入って
お父さんの事を見た。

……お父さんじゃない。
違う。顔が傷だらけになって
包帯でぐるぐる巻かれている。
きっと事故にあったときの
傷だろう。

『どんな形であっても
お父さんはお父さんよ。』

お母さんが言った言葉が頭を
よぎった。

そうだよ。どんな形であっても
私のお父さん。
私はお父さんが呼吸をしてくれるように
願う。今はそれしか出来ない。

「あなた……。」

「…お父さん!!」

神様お願いします。お父さんを
助けてください…。



トントンッ

誰かがドアを叩いた。