「皆、ありがとう。」
黄色い声の中心に居たのは、白野空雅だった。
「ねぇ、空雅くん、今週デートしてぇ」
白野空雅。
文武両道、スポーツ万能、容姿端麗。
お家もお金持との噂。
そんな、完璧なクラスメイト。
ただ一つ…
「あぁ、構わないよ。君のような綺麗な女性と一緒に居れるなら。」
女垂らしな部分を除いては。
「いつも、女子ばっかり口説いて、何が楽しいんだか」
連勝が、ブツブツと文句を言いながら、自分の机に戻った。
もう一度、白野空雅の居る廊下を見た。
相変わらず、女子が黄色い声で空雅の周りを取り巻いていて、その声に笑顔で答えてる。
(いいなぁ・・・・・。)
心の中で羨んでいる私に、連勝が声をかけた。
「…なぁ、お前もそう思わないか?」
「え?」
話しを聞いていない私は、連勝の問い掛けるに、
「う…うん…。」
曖昧に答えた。
「だろ!?」
連勝は、身を乗り出して、私の両手を握り、返答をした。
予想外の食いつきと、握られた事に驚き、身を強張らせた。
「いや、今のは聞いてなかったじゃん。」
と、瑠璃が座ったまま、助け舟を出した。
「ご、ごめん…。」
瑠璃にありがたく思いつつ、すかさず謝った私に、連勝が
「んだよ〜」
と、連勝がうなだれた。