私達は呟く様なあいさつをながら、後ろの扉から教室に入った。

「おはよ〜」

「…はよぅ。」

私達の通う学校は、少し変わった校則がある。

その中の一つに、

『朝、教室に入る時は必ず挨拶をする。』

というものがある。

私達は、そんなかったるい規則を律儀に守っている。


「よう!」

声をかけたのは、ショートヘアーの爽やかそうな青年、連勝。


「おはよう…」

私は、自分の席に座りつつ、挨拶をした。

「相変わらず、詐欺師みたいな面ね」
私のより一つ前の席に座りながら、瑠璃が言い捨てた。

「うるせー。」

連勝は、傍からみれば聡明な青年だが、その実、根っからのスポーツマン。
陸上部に所属しているが、他の部活の助っ人を頼まれる事が多く、様々な大会で優秀な成果を出している。

私は、そんな2人の会話を眠たい頭で聞いていた。

瑠璃は、壁を背もたれにして、椅子の背に己の左腕を置きながら、話しかけた。


「そういやあ、あんた来週のバスケ部の試合、助っ人で出るんだって?」

「あぁ。んっとに、モテる男は辛いぜ」

フッ


と、仁王立ちで、左手を腰に当てて、恐ろしくカッコ良くないポーズをとった。

他のイケメンが同じポーズをするばきっとカッコいいだろうに。

と、私は心の中だけで思った。

「ダサい。」

調子に乗った連勝を瑠璃は、一刀両断にした。

連勝は、ガックリとうなだれ、おとなしく椅子に座った。



と、

その時。



「キャーーーーーーーーー!!!!!」
廊下かか、女子達の黄色い声が聞こえた。

「何だ何だぁ?」

連勝が親父くさい物言いで、廊下を覗いた。

瑠璃は、呆れたような、怒ったような顔で、

「いつものアイツじゃない?」

と、言い放った。

連勝の方を見ると、瑠璃と似たような、呆れ顔をしていた。

2人が顔を見て、こんな呆れ顔をする人は、一人しかいない。


私は、連勝の後ろから、廊下を除いた。


そこには…