「ううん、みぃんなで」
「みぃんな?」
「あなたと、夕ちゃんと、夕ちゃんの奥さんと、私、榊」
「医者の彼女は?」
「却下」
「いいじゃん、いたって」
「コロコロ変わるから、ダメよ」
「知ってたんだ(笑)」
「昔からよ」
「ようやく進歩したな」
「そ?」
 夕貴はもう一度笑った。
 香月も、魅力的な表情で笑う。
「それにしても、いい雰囲気のお店ね……ここ」
「ありがとうございます、お客様」
 夕貴は丁寧に頭を下げて、香月に合わせた。
「私、あんまりこういうお店行かないから分からないけど」
「あーそーですか(笑)」
「ね?」
 香月は巽に聞いた。
「ああ、いいと思う」
「ありがとうございます」
 夕貴は本気で感謝の意を述べた。
「ここで働こうかしら、私」
「……向いてないと思うがな」
「生憎今人足りてるし……それに会話できるの?」
「失礼な! これでも私、あそこでナンバー4までいったのよ!?」
「それは知り合いとかでしょ?」
「ひどい……図星」
「その……自己中の会話は好き嫌いが出ると思うから俺の店じゃダメ」
「どう思う?」
 香月は巽に聞いた。
「その意見に賛成だな。全くの同意だ」
「自己中? おかしいなあ……そんなつもり全くないのに」