「…………。
今度近づいてみろ。ただではすまさん」
「え?」
おもむろに携帯の電源を切る。
「誰?」
だが巽はそれには答えず、
「携帯も変えろ。気をつけろ。あまり出歩かない方がいい」
「えって……」
「二度と拉致されたくなければ」
「……」
巽の鋭い視線は嘘をつかない。
「……」
「店を辞めた後、ゲストに追い回される女は少なくない」
「……」
「アフターの経験があるならなおさらだ」
「……だからってここにはいられない」
くすみのない、真っ白のシーツを握りしめて言う。
「ここにはいられない」
巽との関係を終わらせたのは自分。
「ここにいられないと思うのなら、東京マンションへ帰ればいいだろ?」
「部屋自体はあるかもしれないけどさ、まだ誰も入ってなければ。けど、家財道具一式売ったし……」
「ならここでいい。ここで飯でも作れ」
香月はじっと目を合わせた。
「家政婦?」
「それで残りの金を返せ。自給900円。いい方だろ?」
自分はあんな高級な物で固めておいて、人には自給900円……あまりにも妥当な金額すぎて笑えた。
「住み込みの家政婦?」
「なんなら、特別な家政婦にしてやってもいい」
巽は嬉しそうに笑ったが、
「いみ……分かんない」
疲れ切って、溜息を吐いた。
今度近づいてみろ。ただではすまさん」
「え?」
おもむろに携帯の電源を切る。
「誰?」
だが巽はそれには答えず、
「携帯も変えろ。気をつけろ。あまり出歩かない方がいい」
「えって……」
「二度と拉致されたくなければ」
「……」
巽の鋭い視線は嘘をつかない。
「……」
「店を辞めた後、ゲストに追い回される女は少なくない」
「……」
「アフターの経験があるならなおさらだ」
「……だからってここにはいられない」
くすみのない、真っ白のシーツを握りしめて言う。
「ここにはいられない」
巽との関係を終わらせたのは自分。
「ここにいられないと思うのなら、東京マンションへ帰ればいいだろ?」
「部屋自体はあるかもしれないけどさ、まだ誰も入ってなければ。けど、家財道具一式売ったし……」
「ならここでいい。ここで飯でも作れ」
香月はじっと目を合わせた。
「家政婦?」
「それで残りの金を返せ。自給900円。いい方だろ?」
自分はあんな高級な物で固めておいて、人には自給900円……あまりにも妥当な金額すぎて笑えた。
「住み込みの家政婦?」
「なんなら、特別な家政婦にしてやってもいい」
巽は嬉しそうに笑ったが、
「いみ……分かんない」
疲れ切って、溜息を吐いた。