「うん、俺も思うし、本人も気づいてた。それでもなあ……裏千家もどうなってんだか……」
「四対の息子と友人らしい。そいつが解決するだろう。あいつを探してるみたいだから」
「えー……と、四対って最近ニューヨークの方で忙しいだろ? こっちにはいないと思うけど?」
「……」
「それまで我慢させる気?」
「……いい社会勉強になるだろ」
「うそー! なんて酷い(笑)」
 更に、附和は、そのクラブで香月と2人で撮ったという携帯の待ち受け画面の写真を自慢してきた。
「俺はこっちの方が好きだなあ、いつもの服よりは」
「……」
 その姿を見て、笑顔を向けてはいるが、明らかな営業スマイルだということに、巽は助けに行かない自分に罪悪感を抱いた。
「……」
「行く? チック」
「行かん」
 社長室をノックする音が聞こえて、ハッとした。
 巽は頭を切り替えて、姿勢を正す。
「はい」
「失礼します」
 入ってきたのは、風間だった。
「余計なことだとは思いますが、報告です」
 風間がそう言ってきた場合、必ず香月の話題であった。
「何だ?」
 素直に聞くことにする。