「え……どんな内容ですか?」
『知り合いに警察の奴がいてね、で、ちょっと取材がてら寄って来たんだけど』
「え……はい」
 それがどうしたというのだ。
『多分香月さんだと思うけど、その、新国際ホテルのセミスゥイートが盗撮されててね、その映像が警察にあるんだ。で、記事にしようとちょっと見てきた所なんだけどね』
「えっ……」
 最悪の展開だ。
『データがちょっと……もしかしたら、コピーされてるかもしれない。だから気をつけた方がいいと思って』
「気をつけるって?」
 言葉を選んだつもりだが、巽と目が合い、慌てて立ち上がって廊下へ移動した。
『いや……まあ、不審な奴には気をつけた方がいいかな、と。脅迫とかね。一応犯人は捕まってるけど、データーがどこかへ流れてるかもしれないから』
「うわあ……最悪。それってあれですよね。その、内容って……」
『そう、セミスゥイートに仕掛けられてたカメラに香月さんともう一人男の人が映っててね、なんか雰囲気的に彼氏と彼女じゃないような気がしたからかけたんだけど。ごめんね。夜遅くに。でも、早い方がいいと思って』
「……あの、それ、最後まで見たんですか?」
 附和とは朝まで何もなかった。そう信じている。だけどそれは香月が信じているだけで、実際のところはどうだったか記憶がない。あの時何故眠くなったのか、それにもワケがある気がするし、もしワケがあるのだとしたら、かなり危険な人物だといえる。
『うんまあ、一応……』
「すみません、今、どこにいます?」
『今? ……コンビニにちょっと買い物に行こうかと思って。外にいる』
「今から会えませんか?」
『いいけど、夜遅いから……どうかな』
「大丈夫です。今からすぐ出ますから」
『迎えに行こうか?』
「えーと、じゃあ……そうですね。んっと、新東京マンションのすぐ近くにコンビニがありますよね? そこまで来てもらえると助かるんですけど」
『あ、僕も今その近く。あれ、マンションって自宅じゃないの?』
「あ、はい、ちょっと……友達の家に来てて」
『……そう……じゃあそこで。マンションまで迎えに行こうか?』
「いえいえ、大丈夫です。そこまで走りますから」
『じゃあコンビニの外で待ってるね』
「すみません、……すぐに行きます」