クッションのいいシートにぐいぐいお尻を押しつけてしまう。
「風間」
　突然巽が前を向いて声を出した。右手、左手はそのままの状態なので、その右手に神経を全集中させながら、話を聞こうと必死になる。
「はい」
　風間はもちろん従順に返事をする。
「山根氏の件……」
　言いながら、右手指の先に少しだけ力を入れられ、目を閉じた。
「承知しております」
　少しだけ目を開いた。
　指はそのまま動かなくなってしまう。
「さあ……」
　絞められていた両手首が解放され、急にその辺りが涼しくなった。
　同時に、身体全体が涼しくなる。
「どんな風に、ねだってもらおうか……」