「あーあ……どうしようかなあ……」
「何が?」
 ロールスロイスの中で、巽はゆったりと足を組み直しながら聞いた。
「ずーっと考えてたの、この数日。けど、何をするべきなのか分からなかった……だからとりあえず、明日は家でご飯をつくろうと思って」
「そのまま一週間いればいいじゃないか」
「そう? それがいい?」
 香月は不安な表情を見せる。
「別に、何でも構わん」
「レシピはねえ、一応色々持ってきたんだー。ネットで調べて印刷したの」
 時刻は午前3時。一度風呂に入ってしまったせいで、さすがに眠い。
 少し目を閉じよう、と腕をそっと絡ませた。
「食べられる物なら、なんでもいい」
「嘘ぉー!! 思いっきりれんこんの天ぷらリクエストしたじゃん!!」
「例だ」
「えー!? ……料理かあ……。佐伯はね、やっぱ料理うまいの。といっても、あんましないけどね(笑)。いい人がいたらいいのになあ……」
「そうだな……」
 巽はゆっくりと腰に手を回してくる。
「……ねむぅ……」
 求められているのが、分かる。
「眠くない?」
「ちっとも」
 既に首筋に顔を埋めている巽に、簡単に返される。まあ、いいか……今日はちゃんと相手をしよう。