「……何だ?」
 巽は怪訝な顔をする。
「約束、指きり」
 巽は数秒止まったが、なんとか、指を出してくれた。
「えーと……、指きりげんまん嘘ついたらハリセンボンのーます、指切った!!」
「……」
 指は簡単に外れた。
「約束、……料理ね、サンドイッチかどうかは分からないけど。頑張ればもっと難しい物もできると思う!!」
「……れんこんの天ぷらが食いたいかな……」
「いきなり難易度高!! れんこんの天ぷら!? というか、好きだったんだ……」
「まあな」
 巽は目を合せずにさっと立ち上がった。
「れんこんの天ぷら、れんこんの天ぷら……、水戸だっけ??」
「そこまでこだわらん。それこそ、スーパーのれんこんでも十分だと思うぞ」
「へー……」 
 というか、腕に自信がないから、素材に任せようと思ったんですけど。
「……料理教室行こ……」
 香月も、材料を思い浮かべながら、仕方なく立ち上がった。