「……四対さんのこと、そういう風に見たことないけど」
「先輩って眼中にないと、すぐに分かりますよね」
「えっ、そうかな?」
「なんというか、友達でもないし、知り合い、みたいな雰囲気をすぐにとる」
「だって本当だし!!」
「じゃあ、四対さんのこと、どう思ってるんですか?」
「今は友達だと思ってるよ。今までは知り合いだと思ってたけど、その、リンゴの皮のことがあってから、友達だと思ってる」
「けど、専用の携帯持ってるでしょ?」
「みんな持ってるんじゃないの?」
「んなバカな!! あるわけないじゃないですか!! 無駄だし!!」
「え、まあ、佐伯はないかもしれないけど」
「彼だって持ってませんよ」
「まあ、それは、2つも携帯面倒だし?」
「みんな2つも面倒ですよ。四対さん、専用の携帯なんか渡したの、初めてだって言ってましたよ。しかも、それを充電しない、とも」
「(笑)だって面倒だから(笑)」
「四対さん、結構先輩のこと、好きなんですよ」
 佐伯はこちらを見てばっちり言ったが、そこはあまり深く考えたくなかった。
「……好き嫌いありそうだね、あの人」
「まあ……。多岐川さんは、間違いなく嫌いの部類ですよ」
「まあねえ……。専用の携帯は渡しそうにないかな……」
「多分、先輩に渡したのは、自分から友達になりたいって思ったからじゃないですかね。友達は寄って来るもんだって思ってただろうし」
「そっかあ……、四対財閥って言われたら、みんな来てくれるよね……」
「けど、友達って意外に少ないんですよ。うちの彼も、知り合いって多いけど、友達ってほんの10人に満たない、普通の数なんですよ」
「そうなんだ」
「だから多分、四対さんも、そうやって普通に食事とか行くの、先輩くらいなんじゃないですかねえ」