「家政婦……」
「お金がそもそもあるしって意味です。しかも、優しいし」
「はあ……お金……」
「大事ですよ。月30万じゃ、餃子、ハンバーグ、コロッケのループですよ」
「……ループねえ……」
「じゃあ、聞きます。
 四対さんと結婚したら、毎日、何もしなくてもいい。絶対に。子供を生めば、子供のちょっとした世話だけすればいい。
 今の彼氏と結婚しても、多分同じ。
 もし、他の、例えばー……そうだなあ……普通の平社員の人と結婚したら、毎日家事洗濯、炊事に育児、ぜーんぶ自分。
 さて、どれがいいですか!?」
「えー……。わかんない」
「何言ってんですか!! 平社員と結婚なんて最悪ですよ!? 甘く見すぎです」
「私さぁ、伊吹さんに結婚前提で付き合ってって言われたのよね」
「へー!! 伊吹老舗の!? 確か次男ですよね?」
「うんそう」
「でもあの人もお金持ちだから。でも一番やっかいですよ。あそこのお母さんなかなか厳しいし、何かあったら次男が跡つがなきゃいけないから。お母さんに倒れられでもしたら、大変ですよ」
「え、そういうことー?」
 香月は質問したが、佐伯はそれには答えず、
「一番いいのは……、けど四対さんのお姉さんも厳しそうだからなあ……今の彼氏はどうなんですか? 親とか」
「……親……お父さんは亡くなってて……かな」
「お母さんは?」
「さあ……知らない」
「まあ、あんまり関わってないとしたら一番楽ですね。なんだあ……一番いい路線行ってるんじゃないですかあ」
「……そうなのかなあ?」
「結婚なんて、生活の連続ですからね、そんな、最初は好きだけで結婚できても、後がなかなか……。けど、今の彼氏はいいと思います。その次が四対さん」