「違う違う、だって附和さんに会う前から私、電話ずっと繋がらなくて、本当、番号が変わったって……だってだから、あの日、けんかしたじゃん。ホテルで。だからそれで怒って電話番号変えたのかと思って……」
『……それで?』
「それででも……だから多分、マンションの暗証番号も変えてるだろうからって」
『附和がそう言ったのか?』
「ううん、それは私が勝手にそう思って……。で、一日中電話かけても繋がらなくて。そしたらその日偶然附和さんに仕事の帰りビルで会って、附和さんも電話が繋がらないから多分番号変えたんだろうってなって」
『いつの何時?』
「昨日の……7時とか」
『……いや、着信はない』
「そりゃそうだよ! 繋がらなかったんだもん! で、……でえ……」
『で? 附和がどうした?』
「附和さんが、あなたの会社にかけて電話番号聞いてくれるってなったんだけど丁度あなたがいなくて」
『何時?』
「9時から11時」
『ああ、確かに会社にはいなかったな』
「で……その後、あなたに電話番号聞いたんじゃないの?」
『知らん』
「嘘、だって朝起きたら電話番号が……」
『朝まで一緒にいたのか?』
「ううん、違う。私が泊まったホテルの場所を知ってただけで、そこに電話番号を届けてくれたの。そうなの」
『……で?』
「でぇ……。で、今。そのメモの電話番号にかけたら繋がったの」
『不思議な話しだな。お前と附和以外の人間は繋がってるっていうのに』
「えー……なんでぇ……。電波のせいかな……」
『そんな都合よくいかんだろ。どうせ附和の嫌がらせだ』
「嘘。だって……だとしたってそんなうまくいかないよ。あの時だけ繋がらないようにするってそんなの個人の力じゃ無理でしょ?」
『なんだってやり方はあるさ。お前の携帯を拝借して、番号を書き換えれば済む』
「うそぉ……そんなことできるとは思えない」
『で、どこのホテルに泊まった』