「多岐川さんには、無理って言う、言い切る!!」
「だって私、あの人がどんな人か知らないもん」
「余計ですよ。どんな人か完全に知って、いけるって人しか四対さんには会わせられないと思いません? 私でも思いますよ」
「いやあ……でも、もしかしたらね、四対さんが気に入るかもしれないって思ったんだけどなあ……」
「そんなわけないじゃないですか。あんなプライド高い人が」
「まあ……」
「多岐川さん、性悪ですからね。この代償はでかいと思うなあ」
「今普通の人って言ったじゃん!!」
「噂は、性悪ですよ。私の感想は、普通でしたけど」
「まあねえ……四対さんって聞いたら、目の色変えたもん」
「先輩も闇討ちにあわないように気をつけた方がいいですよ」
「マジでぇ!? ……でもさあ、これで2人は一応知り合えたわけじゃん。そうそう、私だって、牧さんとあの時ただ知り合っただけだけど、あの後一緒に仕事することになったからね。だから、そう、まあ良かったのよ」
「聞きましたよ、和久井さんから」
 偶然のランチ合コンの時に、牧の隣にいた、佐伯の知人だ。
「いじめの話?」
 香月は、今までの牧との仕事を思い出しながら言う。
「相当根に持ってるって」
「一体私が何をしたってゆーのよ……」
「先輩が妙にうまく絡んでるとも言ってましたけど」
「私は、もういいやと思って、言いたいこと言ってただけだけど」
「それが牧さん的に面白かったんじゃないですか?」