「ああ、えーと、なんか、これだったら作れそうかなって……けど結構時間かかったし、難しかった」
「もしかして、あいつの毒見?」
「え、毒見?」
「……」 
 四対はこちらを見つめて、ただ食べる。
「え、あの人にあげる前にあなたに毒見させたってこと?」
「……」
 四対は見つめたままうんともすんとも。
「失礼すぎでしょそれ!! 私、どんだけ性格悪いのよ!」
「そーゆーわけじゃねーけど……」
「ううん、あの人甘いもの嫌いだから。これは本当に、四対さんに作ったんだよ」
「……うまいはずだ」
 四対は最高の単純な笑顔を見せた。
 ただ、……ああ……罪悪感が心を支配する。
「もしかして、香月先輩ですか?」
 えっ、先輩??
 そう呼ばれる心当たりがなかったので、驚いて振り返ると、予定通り多岐川の超気合入れた白いワンピースの眩しい姿がそこにあった。
「あっ、あっ、多岐川さん!!」
 これで返事合ってるのか!?!?
「あ、あの、エレクトロニクスの多岐川さん」
 香月は早くも四対に紹介をした。それがまずかったのか、多岐川は一瞬不安げな表情を見せたが、すぐに元に戻し、四対に
「こんにちは、多岐川です」
 と、上品に挨拶してみせた。
「……」