そのわりに息切れはしていない、若いせいだろうか。
「ううん、こっちこそ、ごめん!! 本当ごめん……ごめんね」
「何回も謝んなよ……早く食おうぜ。3時半くらいまでは大丈夫だから」
「……ごめんね……」
「いーって言ってんじゃねえかよ」
 四対は既に香月が場所とりしていたベンチにドスンと腰掛けると、準備を待った。
 ここで待機している多岐川が出て来るはずなのだが、手間取っているのか、戸惑っているのか、出てこない。
 香月は、仕方なく、箱に入れてきたアップルパイを広げた。手作りのアップルパイことは、特に多岐川には伝えていない。
一応、アップルパイ手でつかんで食べられるように包装していたので、そのまま手で、渡し、空いた手で、水筒から紅茶をコップに入れた。
「今日はちょっと寒くてごめんね……」
 ああ……本当に申し訳ない。
「うまいじゃん、よかった、よかった。いつも食べてるのと全然味違うけど、うまいよ」
「ああ……」
 まあね、いつもは超一流シェフが作った物ばっかだろうから、そりゃ味違うよね……。
「何で突然?」
「え?」
ぎくりとする。
「アップルパイ」
 四対は食べながら聞いた。