「えっ、何ですか、この静けさ」
 多岐川が言ったが、それをカバーするように、
「佐藤さんなんて、ほんともうおじさんだよ。それよりさあ、斉藤さんなんて、どう??」
 成瀬が突然喋りだした。
「斉藤さん? もしかして、営業の恵さんと結婚したっていう……」
「えー!! あの人、結婚したの!?」
 成瀬は突然大声を出した。
「成瀬君、近所迷惑になるから」
 今井はたしなめる。
「あ、すみません……、えっ、結婚したんですか!?」
「うん、みんな知ってるよ」
 庶務課は、お菓子をつまみながら言った。
「えー……、知らなかった……」
「狙ってたんですか、成瀬さん」
 多岐川はいたずらな表情で言う。
「いやあ、まさか」
 その顔からは、まさか好きだったとはとれない。
「信じられないなあ、みんな結婚するんだなあ……。割れ鍋に、綴じ蓋か……」
「酷いこと言うね!!」
 香月は、本気で笑いながら言った。
「僕も結婚したいな……」
「って言ってますけど」
 香月はなんとなく、今井に成瀬を押してみた。
「私、会社の人は嫌」
 さすが賢人。
「成瀬さんが辞めて、主夫すればいいじゃないですか(笑)」
 香月は笑ったが、
「僕は、専業主婦の奥さんがほしい」
 成瀬は堂々と言い切る。次に意外に永井が
「専業主婦なんか大変ですよ、一々うるさくて」
「え、君、独身だよね?」
 庶務課が聞く。だが、永井は。