「どうするんだろうね」
　今井は真剣に考え始めた。
「子供いるけど……借金もあるし……」
「……離婚しないかなあ……」
「けど、離婚するんでしょ?」
　庶務課は伊吹に詰め寄った。
「噂ですけど」
「……よく考えたらさ、子供が2人いて、奥さんが借金しても、離婚しなさそうにない?
だって、普通の松長さんの貯金があるだろうし」
「いやー、そういうのもやっぱり使ってるんじゃないですかね」
　誰よりも遠い多岐川が意見する。
「はあ……」
　全く関係のない人物のことで、数人が溜息をついた。
「私なら……離婚しないでって感じかなあ……」
　多岐川が突然妻の身になったが、多岐川らしい意見だ。
「うーん、まあ、そうよねえ、普通」
「……松長さん、お弁当とか持って来てたのになあ……」
「ね」
　香月は成瀬の呟きに返事をした。
「結婚しても……離婚したら一緒だしね」
　今井は、自分でワインを注ぎながら言う。
「けど、一回でもしないよりはマシじゃない?」
　庶務課は自分の意見を述べた。
「いやー、離婚なんて。……ここだけの話なんだけどさ。佐々木部長代理、離婚したのよ」
　ここだけの話になっているのかどうかは別として、今井は小声でぶちまけた。
「え゛―!!」
　これには香月が一番に反応した。
「佐々木代理って、企画部のですか?」
　そうか、多岐川は知らないんだ。
「僕も聞きました。この前」
　永井が言う。
「あ、結構みんな知ってるんだね」
「……結婚してたんですか……」
　香月は遅ればせながら、意見した。