「ああ、うん、私は完全に思いつきでね、テレビ見てたらしたくなったってゆーか……」
『あいつは?』
「居るよ、そこに」
『そこ!? あいつの側からかけてんのかよ!!』
「え、まあ……」
『……』
 四対は珍しく黙り込んだ。何を言おうか考えていると、巽が横から手を伸ばしてきた。
「……」
 素直に携帯を渡す。
「おい」
 そのまま巽は歩いて行ったから、どんな話をしたのかは知らない。だが、すぐに帰ってきて、また無言で手渡された。
「何話してたの?」
『何でもねーよ……』
 四対は何か考えているようだ。
「……じゃあまた、連絡して?」
『ああ……ちょっと忙しくなるかもしんねーけど』
「ええ!?」
『いや、わかんねーけど』