『で?』
「いや、全然急用じゃないんだけど、オーストラリアでダイビングやりたくなって……忙しいか」
『うーん、まあ』
「じゃまた暇になったら声かけて。待ってるから」
『……、いや……、いや、その、あいつらも誘ってやるか……』
「もが……佐伯? 千さん?」
『ああ……、なんかバタバタしてへこんでたから』
「えっ、何があったの?」
 そういえば、最近全く声をかけていない。
『おろしたらしい、子供』
「えっ……」
『いつかな……ひと月にはなる』
「嘘……、全然知らない」
『気をつけろって怒ったんだけとな』
「えっ、でもさ、今おろすってことは、もう結婚は有り得ないの?」
『さあ……』
「……」
『お前が考え込むなよ、他人のことだ』
「……そんなわけに、いかないよ……。落ち込んでた?」
『その時は俺も会ってはないけど、そういう話だった』
「……、」
『次の休みにでも行くか?』
「うん、いつでもいい。え……それってさ、誘ってもいいものなのかな?」
『聞くだけ聞いてみて、行かないって言えばそれでいいし』
「ああ……そうだね……」
『お前は元気か?』
「えっ、私?」
『ああ……突然ダイビングとか言い出すから』