「すぐに自家用機をチャーターするだろう」
 だが、巽はフンと笑って、軽く挑発を交わす。
「……四対さんと、仲いいの? いや、そんなわけないよね、だって、親子ほど年離れてるもの」
 言ってから年のことに気づいた。
「信用はしている」
 だが、巽は最初の疑問文にだけ、すぐに答えた。
「何で?」
「他とは違う」
「えっ、じゃぁさ、例えば、2人でオーストラリアにいくとか、オッケーなの?」
「行きたいのならば」
「……まあ、行きたい理由はないよねえ……」
 香月は天井を仰いだ。
「電話しよ」
 すぐにバックから携帯を取り出す。
「瞬発力だけは、最高だな」
「ないよりましでしょ」
 四対専用の携帯の充電は切れていたので、自分の携帯からかけることにする。もちろん、こちらの電話番号も四対には知らせてある。
『もしもし?』
「あ、ごめん、寝てた?」
『うとうとと……』
 電話の後ろで、女の「誰?」という声が聞こえた。
「ごめん、後でかける」
『いーよ、気にすんな』
 というわりには、部屋を変えているらしい。