さらっと言った。そう、これは全て涼屋の口から出た話だ。
「苗字は?」
 附和と同じ切り替えしだ。
「それが苗字。下の名前は……忘れたけど」
「……昨日死体で発見された男だな」
「ええ!?!?」
 香月は、巽の顔をただ見つめた。
「同姓同名かもしれないが、涼しいに部屋の屋だろ?」
「……」
 香月は、ただ首を前へ振る。
「……珍しい名前だからな」
「……うそ……」
「事故かもしれんが、他殺かもしれん。どちらにせよ、お前の負担が減るなら、何よりだ」
「……え……、附和さんがやったの?」
「どうしてそう思う?」
 逆に巽は聞き返してきた。
「だって、あの時、附和さん、調べてた。涼屋さんのこと」
「さあな……」
 巽は、まだ長いタバコをもみ消した。
「俺は仕事へ戻る。風間ももう、部屋から出てくるだろう」
「……」