さて、時刻は、午後11時。この時間に巽が電話に出ることは、あまりない。だが、仕方ない。巽が電話に出なければ、風間にかけるつもりで、そう、それくらい急用であると確信して、発信ボタンを押した。
だが意外にも、巽は2回目のコールで電話に出た。
「もしもし?」
『どうした?』
こんなすんなり声が聞けたのに、その用があまりにも、用事すぎて、嫌になる。
「あのね、今女の人がマンションの前に倒れてて助けたんだけど、その人、あなたが前にサクラマンションで匿ってた人……だと思うの」
一気に言った。
『……すぐ行く』
驚いた。そこで電話は切れた。
な、何? それほど大事な用事なの?
私が会ってって言ったって、どれほども時間を作ってくれはしないのに……。
すぐ……、どのくらいすぐ来るのだろう……その間に、この人、起きるだろうか……。随分ぐっすり眠っている気がする。
その寝顔から、やはり、まだ若い気がした。あの坂上刑事とは、年が一回りは離れていると思われる。しかし、特に外傷はなかったが、何故あんなところで倒れていたのだろう。しかも、救急車呼ぶなってどういうことだろう……。
考えている間にインターフォンが鳴る。信じられない、15分で着いた。
「びっくりした、早かったね……」
「……どこだ?」
「今寝てるよ。多分熱ある気がする」
巽はもちろん仕事用スーツのまま、スリッパを履いて、中へ入ってくる。
香月は、こんな状況で初めて自室を公開することが少し悔しかった。そのベッドに眠っているのが自分ではないことが、非常に惜しい。
「起きろ」
「えっ…!?」
だが意外にも、巽は2回目のコールで電話に出た。
「もしもし?」
『どうした?』
こんなすんなり声が聞けたのに、その用があまりにも、用事すぎて、嫌になる。
「あのね、今女の人がマンションの前に倒れてて助けたんだけど、その人、あなたが前にサクラマンションで匿ってた人……だと思うの」
一気に言った。
『……すぐ行く』
驚いた。そこで電話は切れた。
な、何? それほど大事な用事なの?
私が会ってって言ったって、どれほども時間を作ってくれはしないのに……。
すぐ……、どのくらいすぐ来るのだろう……その間に、この人、起きるだろうか……。随分ぐっすり眠っている気がする。
その寝顔から、やはり、まだ若い気がした。あの坂上刑事とは、年が一回りは離れていると思われる。しかし、特に外傷はなかったが、何故あんなところで倒れていたのだろう。しかも、救急車呼ぶなってどういうことだろう……。
考えている間にインターフォンが鳴る。信じられない、15分で着いた。
「びっくりした、早かったね……」
「……どこだ?」
「今寝てるよ。多分熱ある気がする」
巽はもちろん仕事用スーツのまま、スリッパを履いて、中へ入ってくる。
香月は、こんな状況で初めて自室を公開することが少し悔しかった。そのベッドに眠っているのが自分ではないことが、非常に惜しい。
「起きろ」
「えっ…!?」