「なるほどね。他に兄弟は?」
「弟がいます」
「妹さんか、お姉さんは?」
「いませんけど」
「惜しいなあ。いたら紹介してもらうのに」
「そんな、一般人の私が紹介しなくても、附和さんならいっぱい……例えばどっかの令嬢とか、紹介してもらえるんじゃないですか?」
「あれ、僕を何だと思ってるの?」
 ……そういえば何だったか。お金持ちそうなので、お金持ちだとは思っていたが、何だったか……。
「……何でしたっけ?」
「ぷっ(笑)。そうか、知らないのか(笑)」
「知りませんよ。……教えてもらったこと、多分ないと思います」
「あれ、そ?」
「た、ぶん」
「ここのオーナーだよ。基本、外国からの輸入店のオーナー。別名、日本有数の資産家の長男」
「……自分で言わなくても」
「いや、ウィキペディア見たらそう書いてたから」
「え、自分の名前が載ってるんですか?」
「まあね」
「有名人だったんですね!」
「あれ、高感度アップ?」
「いや、そういわれるとなんか違う気がしますけど」
「でも、もし親父が死んだら、附和家の財産は全部俺のものだよ?」
「そーなんですか」
「お金で動かない女っていいねえ」
「正直すぎますよ、その意見」
「(笑) 。ほんと魅力的だよね、香月さんって。巽が選んだのもよく分かる」
「……そうなんですかね……」
「何、もう別れてるの?」
 丁度そのタイミングで最初に運ばれてきた、特別なデザート。
「あ! え、最初にデザート!?」
「疲れたでしょ、仕事で。甘い物好きな人は、順番に関係なく食べたいって言うしね」
「嬉しい!! すごい!! しかもこの前と違う!! 日替わりですか?」
「違うよ、特別」