息が切れそうになったので、そこで区切った。
「何って……別に?」
「嘘……何が言いたかったんですか? 彼が……、他に、彼色に染められている誰かが、いる、ということですか?」
「僕ならそんなことしないけどね」
「答えてください!!」
 香月は、附和との距離があまりにも遠く、縮まらないことに苛立ちを感じた。
「また、する? キス。彼と仲直りするために、他の男に体を許すことも、慣れてるんでしょ?」
「なっ……!」
「まあ、原因は君にあると思うけどね。仕方ない」
 附和は車に乗り込んだ。
「待って!!」
「何? 僕、これでも忙しいんだけど」
 サイドウィンドから顔を出してくれるので、一旦ほっとした。
「す、すみません、けど、待って下さい」
「何?」
 附和は睨むように見つめてきた。