一分ほどそのままの姿勢だった。その後彼はこちらに向き直り、ようやく話を再開させた。
「君の安全が第一、かな」
「え……?」
「とにかく、私は君に期待をしていると同時に、店舗でのトラブルも心配している。
特に、この先は、以前のような活躍が見られるだろうし。ぐんぐん、果ては宮下君をも抜いてくれるだろう」
「……そんな……」
 まさか、という言葉はさすがに飲み込んだ。
「辞表は預かっておくよ。
 今の課に馴染めないんなら、宮下君にも少し力を借りればいい。村瀬君はああだからな、宮下君の方が君に近い」
 香月は無関係な村瀬の焦り顔を思い出して少し笑った。
「彼は上司として、頼りになる」